PDFの使い方

PDF結合の方法|複数ファイルを1つにまとめる手順としおり・署名の注意点

複数のPDFを1つにまとめるには、主に4つの方法があります。PDF編集ソフトの結合機能、Mac・iPhoneの標準機能、ブラウザ上の結合ツール、qpdfなどのコマンドです。どの方法でも、基本は「ファイルを並べる → 順番を確認する → 1つのファイルとして保存する」の3ステップです。

ただし、結合すると元のファイルにあった設定が変わることがあります。たとえば、しおり(目次の見出し)が消える、入力フォームの値が連動してしまう、電子署名が無効になる、といったケースです。この記事では、結合の手順に加えて、こうした結合後の変化と対処法をまとめています。

提出書類や会議資料をまとめるときに失敗しやすい、ページ順や用紙サイズの混在、ファイルサイズについても、具体的な数字を使って説明します。

PDFを結合する4つの方法と選び方

まずは、自分の環境に合った方法を選びます。それぞれの特徴を表にまとめました。

方法 向いている人 長所 注意点
PDF編集ソフト 仕事で頻繁にPDFを扱う人 しおりやページの細かい編集までできる 結合機能が有料版のみのソフトもある
OS標準機能 Mac・iPhoneの利用者 追加のインストールが不要 Windowsには結合専用の標準機能はない
ブラウザ上のツール 手早く済ませたい人 端末を選ばず使える 処理がサーバー側か端末内かをツールごとに確認する
コマンド(qpdfなど) 大量のファイルを繰り返し処理する人 自動化でき、結果が毎回同じになる コマンド操作に慣れが必要

PDF編集ソフトを使う

Adobe Acrobatなどの編集ソフトには、複数ファイルを選んで1つにまとめる機能があります。ページのサムネイル(縮小表示)を見ながら順番を入れ替えたり、不要なページを削除したりできるのが強みです。どの機能が無料で使えるかは、ソフトや契約プランによって異なります。

OS標準機能を使う(Mac・iPhone・Windows)

Macでは、標準のアプリ「プレビュー」でPDFを開いてサイドバーにサムネイルを表示し、別のPDFをそこへドラッグすると結合できます。ただし、プレビューは開いているファイルに変更を自動保存するため、この手順だと最初のPDFそのものが書き換わります。原本を残すには、開く前にFinderでファイルを複製しておくか、開いた直後に「ファイル」→「複製」で別のコピーを作ってから作業し、結果は「ファイル」→「書き出す」で新しい名前を付けて保存しましょう。

iPhoneやiPadでは、「ファイル」アプリで複数のファイルを選び、PDFを作成する機能を使う方法があります。メニューの表示はOSのバージョンによって異なります。

Windowsの場合、PDFを表示する機能は標準で用意されていますが、複数のPDFを結合する専用の標準機能はありません。そのため、編集ソフトかブラウザ上のツールを使うのが現実的です。

ブラウザ上のツールを使う

インストール不要で、パソコンでもスマホでも同じように使えます。たとえば、TooljipのPDF結合ツールを使えば、複数のPDFを好きな順番に並べて1つのファイルにまとめられます。

ブラウザ上のツールは、ファイルをサーバーに送って処理するものと、端末内だけで処理するものに分かれます。契約書や個人情報を含む書類を扱う場合は、使う前にツールの説明で処理方式を確認し、勤務先のルールも合わせて確認しましょう。

qpdfなどのコマンドを使う

qpdfは、PDFの構造を直接操作できる無料のコマンドラインツールです。Macではbrew install qpdf(Homebrewを利用)、Windowsでは公式のリリースページから入手するかwingetでインストールし、qpdf --versionでバージョンが表示されれば準備完了です。結合は次のように書きます。

qpdf --empty --pages 01_表紙.pdf 02_本文.pdf 03_資料.pdf -- 結合.pdf

--emptyは「空のPDFから作り始める」という意味です。--pagesと--の間に書いた順番どおりにページが並びます。ファイル名の後ろにページ範囲を書けば、一部のページだけを取り出すこともできます。

qpdf --empty --pages 本文.pdf 1-5 資料.pdf z -- 結合.pdf

この例では、本文.pdfの1〜5ページと、資料.pdfの最終ページ(zは最終ページを表す記号)を結合します。似たコマンドにpdfunite(Popplerというソフトに含まれるもの)もあります。pdfuniteは最後に書いたファイルを出力先として扱うので、出力ファイル名を書き忘れると、既存のファイルを上書きしてしまうおそれがあります。

どの方法でも共通の結合手順

使うツールが違っても、失敗しにくい手順は同じです。

  1. 元のPDFを別のフォルダにコピーし、原本はそのまま残します。
  2. ファイル名の先頭に「01_」「02_」のような2桁の番号を付けます。
  3. ツールにファイルを読み込み、表示された順番が意図どおりかを確認します。
  4. 横向きのページや不要なページがあれば、この段階で回転・削除します。
  5. 新しいファイル名で保存します。元ファイルへの上書きは避けます。
  6. 結合後の総ページ数を確認します。たとえば表紙1ページ、本文12ページ、資料7ページなら、1+12+7=20ページになっているはずです。
  7. 最初・最後と、ファイルの境目にあたるページを開いて、表示が崩れていないか確かめます。

2の番号付けが重要なのは、ファイル名を文字として比較して並べるツールがあるためです。その場合、「1.pdf」「2.pdf」「10.pdf」は「1」「10」「2」の順になります。エクスプローラーのように数字を数値として並べる画面もありますが、ツールによって並び方が違うため、「01」「02」「10」とゼロで桁をそろえておけばどの環境でも同じ順番になります。

ページ順の決め方と両面印刷の注意点

読む人の流れに沿って並べる

一般的には「表紙 → 目次 → 本文 → 添付資料」の順にします。申請書類の場合は、提出先の案内に指定された順番があれば、それに従うのが確実です。

結合しても、ページに印刷されているページ番号は自動では振り直されません。本文PDFの「1」と資料PDFの「1」が、結合後のファイルに両方残ります。通し番号が必要なら、元のWordなどの文書で番号を付け直してからPDFにするか、編集ソフトでページ番号を追加します。

両面印刷するなら白紙ページを挟む

両面印刷では、奇数ページが表面、偶数ページが裏面になります。各資料を表面から始めたい場合は、ページ数が奇数のファイルの後ろに白紙ページを1枚挟みます。

例として、資料A(3ページ)、資料B(5ページ)、資料C(4ページ)をこの順に結合する場合を考えます。

  • そのまま結合すると、Aが1〜3ページ、Bが4〜8ページ、Cが9〜12ページになります。Bは4ページ目(偶数)から始まるため、Aの最終ページの裏面に印刷されてしまいます。
  • Aの後ろに白紙を1枚入れると、Bは5〜9ページになります。次のCは10ページ目(偶数)から始まるため、Bの後ろにも白紙を1枚入れます。
  • 結果は、Aが1〜3、白紙が4、Bが5〜9、白紙が10、Cが11〜14ページです。合計は3+1+5+1+4=14ページになります。

しおり・リンク・フォーム・電子署名は結合後どうなるか

PDFには、ページの見た目以外にもさまざまな情報が含まれています。結合でどうなるかは、ツールによって異なります。よくあるパターンを表にまとめました。

要素 結合後によく起きること 対処法
しおり(ブックマーク) すべて残る、最初のファイルの分だけ残る、すべて消える、のいずれか 結合後に必要なしおりを付け直す
ページ内リンク・URLリンク 同じファイル内のリンクやURLリンクは残ることが多い 境目付近のリンクを実際にクリックして確認する
別ファイルへのリンク リンク先のPDFが別ファイルとして同梱されないため、リンクが切れる 結合後のページを指すリンクに付け直す
入力フォーム 同じ名前の欄どうしが連動する 結合前に入力を終えて、フォームを平坦化する
電子署名 署名が無効と表示されるか、署名情報が失われる 結合を済ませてから署名する
文書のプロパティ タイトルなどは最初のファイルのものになることが多い 必要に応じてプロパティを編集する

フォームの値が連動してしまう理由

PDFのフォームでは、名前がまったく同じ入力欄は、同じ1つの値を共有する仕組みになっています。同じ申込書を2人分結合すると、1人目の「氏名」欄に入力した内容が、2人目の欄にも表示されてしまいます。

これを避けるには、入力を終えてからフォームを平坦化(入力欄を通常の文字に変換して編集できない状態にすること)してから結合します。結合時に欄の名前を自動で変更してくれるツールもあります。なお、一部の特殊な形式のフォーム(XFAフォーム)は、結合に対応していないツールがあります。

電子署名が無効になる理由

電子署名は、署名した時点の内容が改ざんされていないことを確認するための仕組みです。追加の署名やフォーム入力など、後から許される変更もありますが、結合は別の新しいファイルを作る操作なので、元の署名はその新しいファイルを対象にしていません。そのため、有効な署名としては引き継がれません。

署名が必要な書類は、結合を済ませてから最後に署名するのが基本です。自分の署名であれば結合後に署名し直せますが、相手方や発行元が署名した書類は自分では署名し直せません。そうした署名済みのPDFは結合せず、別のファイルとして渡すほうが安全です。どのように提出するかは、提出先の指示を確認してください。

用紙サイズや向きが混在するPDFを結合するとき

PDFでは、ページごとに用紙サイズが記録されています。そのため、A4とA3、縦向きと横向きが混ざっていても結合自体は問題なくできます。結合しても各ページのサイズは自動ではそろいません。

PDFのサイズは「ポイント」(1ポイント=1/72インチ)という単位で記録されます。代表的なサイズは次のとおりです。

用紙 ミリ ポイント(概数)
A4 210×297 595×842
A3 297×420 842×1191
レター(米国の標準サイズ) 215.9×279.4 612×792

たとえばA4の幅は、210÷25.4×72=約595.3ポイントです。レターサイズはA4より幅が約17ポイント広く(612-595=17)、高さが約50ポイント短い(842-792=50)ため、A4の資料と結合すると画面上でページの大きさが微妙にそろいません。海外から届いた資料を日本の資料とまとめるときによく起きる現象です。

印刷時の縮小率を知っておく

A3のページをA4用紙に印刷する場合、「用紙に合わせる」設定にすると縮小されます。縮小率は短い辺どうしで比べて、210÷297=約0.707なので、約71%です。文字が小さくなりすぎる図面や表は、A3のまま印刷するか、別ファイルにすることも検討しましょう。

横向きのページは結合前に回転する

スキャンした書類では、横向きのページが混ざりがちです。回転は結合前でも結合後でもできますが、結合前にファイル単位で直しておくと見落としが減ります。多くのツールでは、回転はページの表示設定(回転角度の値)を書き換えるだけで、画像そのものを圧縮し直すわけではありません。そのため、回転しても画質は変わらないのが普通です。

結合後のファイルサイズはどう変わるか

結合後のファイルサイズは、元のファイルのサイズの合計に近くなるのが一般的です。たとえば2.4MB、1.8MB、0.6MBの3つを結合すると、目安は2.4+1.8+0.6=4.8MB前後です。

合計より少し小さくなるのは、ツールが重複したデータを整理した場合です。逆に大きくなるのは、ツールがページを作り直したり画像を変換したりした場合です。フォントは、各ファイルに使う文字だけを埋め込んでいることが多く、同じフォントでも1つにまとめられずに重複して残ることがあります。

メールやWebフォームの添付上限は、サービスによって異なります。結合後に上限を超えた場合は、PDF圧縮ツールでサイズを小さくしてみてください。画質を落としすぎずに圧縮するコツは、PDFの容量を小さくする方法にまとめています。サイズの単位がわかりにくいときは、1MB=1,024KBで計算する表示と1,000KBで計算する表示がある点にも気を付けましょう。

うまく結合できないときのトラブル対処表

症状 主な原因 対処法
ファイルを読み込めない パスワードや編集制限がかかっている 作成者にパスワードを確認し、権限を得たうえで解除してから結合する
順番が1、10、2になる ファイル名を文字として比較している 「01」「02」のように桁をそろえる
一部のページが横向きになる スキャン時の向きや回転設定 結合前に該当ページを回転する
しおりが消えた ツールがしおりを引き継がない 結合後に付け直すか、しおりを残せるソフトを使う
フォームの入力が別ページに反映される 同じ名前の入力欄が重複している 平坦化してから結合する
署名が無効と表示される 結合で署名の対象外の新しいファイルになった 自分の署名なら結合後に署名し直す。他者の署名済み書類は結合せず別ファイルで提出する
ファイルが極端に大きい 高解像度のスキャン画像や重複したフォント 結合後に圧縮する
印刷すると一部のページが小さい 用紙サイズが混在している 印刷設定の拡大・縮小を確認する
Macで元のPDFが変わってしまった プレビューの自動保存で最初のファイルに上書きされた 次回からは複製してから作業し、「書き出す」で別名保存する
結合後に開けない 元ファイルの破損や処理中のエラー 元ファイルが単体で開けるかを確認し、別のツールで試す

結合前後のチェックリスト

結合前

  • 原本をコピーして、作業用フォルダで作業しているか(Macのプレビューでは特に重要)
  • ファイル名に「01_」「02_」のような桁をそろえた番号を付けたか
  • フォームの入力を終えて、必要なら平坦化したか
  • 署名が必要な書類は、結合後に署名する段取りになっているか
  • 他者が署名済みの書類を、結合の対象から外したか
  • 機密書類を扱う場合、ツールの処理方式を確認したか

結合後

  • 総ページ数が元のファイルの合計(白紙ページを入れた場合はその分も)と一致しているか
  • ファイルの境目のページの順番と向きは正しいか
  • しおりとリンクは必要な分だけ機能しているか
  • ファイルサイズが提出先の上限内に収まっているか
  • 両面印刷する場合、各資料が奇数ページから始まっているか

よくある質問

Androidのスマホだけで複数のPDFを結合できますか?

Androidの標準機能として結合ができるかどうかは、端末メーカーやOSのバージョンによって異なります。確実なのは、ブラウザ上のPDF結合ツールを使う方法か、結合機能のあるPDFアプリを使う方法です。いずれの場合も、保存したファイルを開いてページの順番を確認してください。

結合したPDFを、あとから元のファイルに分け直すことはできますか?

PDF分割ツールで元のページ範囲を指定すれば、ページ単位で切り出せます。たとえば1〜3ページが資料A、4〜8ページが資料Bであれば、その範囲で分割します。ただし、結合時に消えたしおりや無効になった電子署名は、分割しても元に戻りません。

パスワード付きのPDFを結合すると、パスワードはどうなりますか?

結合したファイルがパスワードを引き継ぐかどうかはツールによって異なり、ツールによっては保護のないファイルとして保存されることがあります。元の書類が保護されていた場合は、結合後のファイルにも必要に応じてパスワードを設定し直してください。そもそも読み込みにパスワードが必要なファイルは、正しいパスワードがないと結合できません。

WordファイルやJPG画像とPDFを1つにまとめたいときはどうすればよいですか?

まず、WordはPDFとして保存し、画像もPDFに変換してから結合します。複数の写真は、画像をPDFに変換するツールで先に1つのPDFにしておくと、まとめて扱えます。すべてをPDFにそろえてから、この記事の手順で結合してください。

結合したPDFを印刷したら、ページの余白がばらばらになりました。

元のファイルごとに用紙サイズや余白の設定が違うと、結合後もそのまま残ります。印刷設定の「用紙に合わせる」などの拡大・縮小の設定で、印刷結果をある程度そろえられます。見た目を完全にそろえたい場合は、元の文書の段階でページ設定を統一してからPDFにするのが確実です。