画像の使い方

QRコードの作り方と印刷サイズの目安|余白・誤り訂正・ロゴの注意点

QRコードは、無料のQRコード作成ツールにURLや文字を入力し、できた画像を保存して配置すれば作れます。印刷するときは、コードの周りに「4モジュール分の余白」を空けてください。そのうえで、コードの一辺を「読み取る距離のおよそ10分の1」にすると失敗しにくくなります。ロゴを重ねる場合は、誤り訂正レベルを高め(QかH)に設定します。

ただし、同じ2cm角のコードでも、入れるデータの量や誤り訂正レベルによって読み取りやすさは変わります。この記事では、まず「バージョン」「モジュール」という仕組みを説明します。続いて、名刺やポスターに印刷するサイズの計算方法、色やロゴの注意点、印刷前のテスト手順を順に取り上げます。

なお、「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。記事中の数値は、規格で決まっているもの(バージョンごとの大きさ、余白、誤り訂正の目安)と、現場で使われる経験則にすぎないもの(読み取り距離とサイズの関係)を分けて書いています。

QRコードの作り方|無料ツールで作る基本の手順

作成そのものは数分で終わります。印刷して配るものは作り直しがききにくいので、次の順に進めると安全です。

  1. 入れる内容を決める:URL、Wi-Fiの接続情報、連絡先などです。URLはブラウザのアドレス欄からコピーし、実際に開けることを確かめます。
  2. 作成ツールに入力する:TooljipのQRコード作成ツールなら、URL・Wi-Fi・連絡先のQRコードを無料で作成・保存できます。
  3. 誤り訂正レベルを選ぶ:設定できるツールなら、迷ったときはM、ロゴを入れるならHにします(理由は後で説明します)。
  4. 画像を保存する:印刷用は大きめのサイズで保存します。SVGなどのベクター形式(拡大しても劣化しない形式)で保存できるツールなら、そちらが適しています。
  5. デザインに配置する:周囲の余白を削らないように置きます。
  6. 実寸で試し刷りして読み取る:複数のスマートフォンで確認します。

中身は短いほど読み取りやすい

QRコードは、入れる文字数が増えるほど細かい模様になり、小さく印刷すると読み取りにくくなります。URLの末尾に付いた「?utm_source=…」のような計測用パラメータが不要なら、外しておくとコードがすっきりします。

Wi-FiのQRコードには、パスワードがそのまま入ります。読み取った人は誰でも接続できるので、来客用のネットワークを使うなど、掲示する場所に合わせて判断してください。

QRコードのバージョンとモジュールとは

QRコードを形づくる白黒の最小の四角を「モジュール」と呼びます。縦横に並ぶモジュールの数によって決まる大きさの段階が「バージョン」で、1から40まであります。

一辺のモジュール数は「17+4×バージョン」で計算できます。バージョン1は17+4×1=21で21×21、バージョン40は17+4×40=177で177×177です。

バージョン 一辺のモジュール数 バイトモードの最大文字数(L/M/H)
1 21 17/14/7
2 25 32/26/14
3 29 53/42/24
4 33 78/62/34
5 37 106/84/44
10 57 271/213/119
40 177 2,953/2,331/1,273

右の列は、URLのような英数字と記号をそのまま入れる方式(バイトモード)で入る最大文字数です。半角の英数字と記号は1文字1バイトなので、URLならこの数字がそのまま文字数の上限になります。数字だけの場合や、数字・英大文字・一部記号だけで構成される「英数字モード」の場合は、もっと多く入ります。

3隅の大きな四角は「位置検出パターン」

3つの角にある二重の四角は「位置検出パターン」です。読み取り機はこれでコードの位置と向きを見つけます。

ほかにも、位置検出パターンどうしを結ぶ白黒交互の列(タイミングパターン)、バージョン2以上で現れる小さな四角(位置合わせパターン)、誤り訂正レベルなどを記録した形式情報があります。バージョン7以上では、位置検出パターンのそばにバージョンを記録した「型番情報」も加わります。どれもデータ本体より大事な部分で、ロゴなどで隠してはいけない場所です。

周囲の余白(クワイエットゾーン)は4モジュール

QRコードの規格では、コードの上下左右に4モジュール分の何もない余白を設けることになっています。この余白を「クワイエットゾーン」と呼びます(小型版のマイクロQRコードは2モジュールです)。

余白があることで、読み取り機はコードの境目を見分けられます。デザインの都合で文字や枠線をぎりぎりまで寄せると、読み取れない原因になります。たとえばバージョン3なら、29+4×2=37モジュール分の幅を確保しておく必要があります。

誤り訂正レベルL・M・Q・Hの違いと選び方

QRコードには、汚れや欠けがあってもデータを復元できる「誤り訂正」の仕組みがあります。強さは4段階から選べます。

レベル 復元できる目安 向いている場面
L 約7% 画面に表示する、きれいな環境で使う、データ量が多い
M 約15% 一般的な印刷物の標準
Q 約25% 屋外の掲示や、汚れ・こすれが起きやすい場所
H 約30% ロゴを重ねる、傷つきやすい物に貼る

ここでの「約30%」は、コードに入ったデータの単位(コード語)のうち約30%までが壊れても復元できる、という意味です。「面積の30%まで隠してよい」という意味ではないので注意してください。

訂正レベルを上げると、その分だけ訂正用のデータが増えます。そのため、同じ内容でもバージョンが上がり、模様が細かくなることがあります(データ量に余裕があり、同じバージョンのまま収まる場合は変わりません)。強ければ強いほどよいわけではなく、読み取りやすさとの兼ね合いで選ぶものです。

データ量が増えるとQRコードが細かくなる理由

入れる文字数が増えたり訂正レベルが上がったりすると、必要なモジュールの数が増えます。同じ印刷サイズに収めると、1モジュールあたりの大きさが小さくなります。これが「細かくて読めない」原因です。

計算例:40文字のURLを2cm角で印刷する

前の表をもとに考えます。作成ツールは通常、データが入る最小のバージョンを自動で選びます。

  • レベルMの場合:バージョン3(42文字まで)に収まり、29×29モジュールです。1モジュールは20mm÷29≒0.69mmになります。
  • レベルHの場合:バージョン4の上限は34文字なので入らず、バージョン5(44文字まで)になります。37×37モジュールで、1モジュールは20mm÷37≒0.54mmです。

0.54÷0.69≒0.78なので、Hにしただけで1モジュールが約2割小さくなります。Mのときと同じ0.69mmを保つには、0.69×37≒25.5mmで、2.6cm角程度が必要です。なお、実際のバージョンは文字の種類やツールの処理によって変わることがあるため、この計算は目安として使ってください。

日本語を含むURLは長くなりやすい

UTF-8では、ひらがなや一般的な漢字は1文字3バイトです。URLでは「あ」が「%E3%81%82」の9文字に変換(パーセントエンコード)されることが多く、日本語10文字のページ名だけで90文字ほどになります。手元のURLが実際に何文字になるかは、URLエンコード・デコードで変換して確認できます。印刷物に載せるなら、英数字だけの短いURLを用意したほうが小さく印刷できます。

印刷サイズの目安|読み取り距離から考える

QRコードの印刷サイズを決める公式な規格はありません。そのうえで、現場では「コードの一辺 ≒ 読み取り距離÷10」という経験則がよく使われます。

読み取り距離 主な用途 コード一辺の目安(余白を除く)
20〜30cm 名刺、チラシ、商品ラベル 2〜3cm
50cm 卓上POP、メニュー 5cm前後
1m 壁に貼るポスター 10cm前後
3m 店頭の看板、横断幕 30cm前後

この表は、URL程度のデータ量(バージョン3〜5くらい)を想定しています。カメラの性能や照明でも結果は変わるため、最後は必ず実物で確かめてください。

モジュールの大きさに置き換えて考える

データ量が違うときは、1モジュールの大きさをそろえる考え方が役に立ちます。たとえば、バージョン3を2cm角(1モジュール約0.69mm)で印刷して手元で問題なく読めたとします。同じ距離でバージョン10(57モジュール)を読ませたいなら、0.69×57≒39mmで、約4cm角が必要という見当がつきます。

余白込みの実寸を計算する

レイアウトでは、余白を含めた全体の幅で場所を確保します。バージョン5を1モジュール0.7mmで印刷する場合の計算は次のとおりです。

  1. コード部分:37モジュール×0.7mm=25.9mm
  2. 片側の余白:4モジュール×0.7mm=2.8mm
  3. 全体の幅:(37+8)モジュール×0.7mm=31.5mm

日本で一般的な名刺(91×55mm)なら、約3.2cm角のスペースを空けておけば収まります。

画像の解像度とリサイズの注意

印刷所への入稿では300〜350dpi(1インチあたりの点の数)が求められることが多くあります。画像のQRコードは、1モジュールが整数のピクセル数になるように書き出すと、にじみが出にくくなります。

たとえば余白込み45モジュールを1モジュール10pxで書き出すと450pxです。350dpiで印刷すると450÷350×25.4≒32.7mmになります。

拡大するときは縦横比を固定し、できれば整数倍にします。画像編集ソフトの補間処理で境目がぼやけることがあるためです。リサイズの考え方は「画像サイズの変更方法|縦横比を保ってリサイズする計算と手順」で詳しく説明しています。また、入稿用のPDFを強く圧縮すると、QRコードの画像まで劣化することがあります。圧縮の設定は「PDFの容量を小さくする方法」を参考に確認してください。

色・コントラスト・反転で失敗しないために

スマートフォンのカメラは、QRコードを主に「明るいか暗いか」で見分けています。色を変えること自体は問題ありませんが、明暗の差が小さいと読み取れなくなります。

  • 濃い色のモジュールに、明るい背景を合わせる:黒と白がいちばん確実です。色を付けるなら、紺や濃い茶色など暗い色を選びます。
  • 薄い色は避ける:黄色、水色、薄いグレーのモジュールは背景との差が出にくくなります。赤と緑のように、色味は違っても明るさが近い組み合わせも危険です。
  • 色の反転(白いモジュールに黒い背景)は避ける:反転したコードに対応していない読み取りアプリもあります。
  • 背景は無地にする:写真、グラデーション、細かい模様を敷くと、余白部分が余白として認識されません。
  • 反射とゆがみに注意する:光沢紙やラミネートは照明が映り込みやすくなります。ボトルなどの曲面に貼ると、コードがゆがんで読みにくくなります。

ロゴを入れるときの注意点

QRコードの中央にロゴを置くデザインは、誤り訂正の仕組みでロゴの下の欠けを補うことで成り立っています。読み取りの余裕を削ることになるので、次の点を守ってください。

  • 誤り訂正レベルをH(少なくともQ)にする:Lのままロゴを重ねると、ほぼ余裕がありません。
  • ロゴは中央に小さく置く:位置検出パターンとその周りの白い枠、タイミングパターン、形式情報(位置検出パターンのすぐそば)、バージョン7以上で現れる型番情報にはかからないようにします。
  • 訂正能力を使い切らない:印刷のにじみや汚れにも訂正能力が必要です。ロゴで隠すのは、訂正できる割合よりかなり少なく抑えます。
  • ロゴの周りに白いフチを付ける:ロゴとモジュールの境目がはっきりして、読み取りが安定しやすくなります。
  • デザイン加工もテストする:モジュールを丸くする、角を削るといった加工も読み取りに影響します。

印刷前のテスト方法

画面上で読めても、印刷すると読めないことがあります。大量に刷る前に、次の手順で確かめてください。

  1. 最終データを実寸で印刷する:プリンターの「用紙に合わせる」などの拡大縮小をオフにします。
  2. 複数の機種で読み取る:iPhoneとAndroidの両方で、標準カメラとほかの読み取りアプリを試します。古い機種もあると安心です。
  3. 想定した距離と角度で試す:ポスターなら実際に貼る高さに貼り、離れた位置や斜めからも読み取ります。
  4. 使う場所の明るさで試す:暗い店内や、蛍光灯が映り込む位置で確かめます。
  5. リンク先を確認する:正しいページが開くか、スマートフォンで見やすいか、URLの綴りが合っているかを見ます。
  6. 校正刷りでも確認する:印刷所の校正刷りでは、インクのにじみで黒いモジュールが太っていないかを見ます。

入稿前のクイックリファレンス

計算式

  • 一辺のモジュール数=17+4×バージョン
  • 余白込みの幅=(モジュール数+8)×1モジュールの大きさ
  • コード一辺の目安≒読み取り距離÷10(経験則)
  • ピクセルからmmへの換算=px÷dpi×25.4

チェックリスト

  • 中身のURLは短く、実際に開けることを確認した
  • 誤り訂正レベルは用途に合っている(標準はM、ロゴありはH)
  • 上下左右に4モジュール分の無地の余白がある
  • 読み取り距離に対してサイズが足りている
  • 濃い色のモジュールと明るい背景で、反転していない
  • ロゴが位置検出パターン、形式情報、型番情報にかかっていない
  • 実寸の試し刷りを複数の機種で読み取った

よくある質問

QRコードは無料で作って商用の印刷物に使ってもよいですか?

規格に沿ったQRコードを作って使うこと自体には、一般にライセンス料はかからないとされています。ただし「QRコード」という名称はデンソーウェーブの登録商標なので、印刷物で名称を書くときは表記に注意が必要です。利用するQRコード作成サービスの利用規約もあわせて確認し、詳しくはデンソーウェーブの公式情報を参照してください。

QRコードに有効期限はありますか?

URLなどを直接入れたQRコード自体には有効期限がなく、印刷物が残っている限り読み取れます。ただし、リンク先のページが削除されれば開けなくなります。また、転送用のURLを発行するタイプの作成サービスでは、サービスの終了や契約の満了で使えなくなる場合があります。

印刷したQRコードのリンク先を後から変更できますか?

URLを直接入れたQRコードは、中身を書き換えられないため刷り直しが必要です。後から変える可能性があるなら、自分で管理するWebサイトに案内用のページを作り、そのURLをQRコードにしておく方法があります。ページ側の転送設定を変えれば、印刷物はそのまま使い続けられます。

QRコードには最大で何文字まで入りますか?

最大のバージョン40で誤り訂正レベルをLにした場合、数字だけなら7,089文字、英数字モード(数字・英大文字・一部記号)なら4,296文字、バイトモード(URLなど)なら2,953バイト、漢字モードなら1,817文字まで入ります。ただし、ここまで詰め込むと模様が非常に細かくなり、印刷物では読み取りにくくなります。

スマホの画面に表示したQRコードが読み取れないときはどうすればよいですか?

画面の明るさを上げ、コードを拡大表示してみてください。画面のちらつきや反射、ほかのカメラで画面を撮ったときに出る縞模様が原因になることもあるので、角度や距離を少し変えると読めることがあります。ダークモードで色が反転している場合は、通常の表示に戻すと改善することがあります。