確率・抽選

あみだくじの確率は公平?横線の本数による偏りと公平にする方法

あみだくじは、ルールどおりに作れば必ず「1人に1つ」の結果が割り当てられ、2人が同じ結果になることはありません。ただし、全員が同じ確率で当たるかどうかは別の問題です。横線が少ないと、スタート地点から遠い結果には行き着きにくく、特に端の列では真下に残りやすいという偏りがあり、これは数学的に確かめられます。

一方で、当たりの位置を偶然で決め、誰にも分からないように最後まで隠しておけば、横線が何本でも、どこを選んでも当たる確率は人数分の1になります。つまり、あみだくじが公平かどうかは「線の引き方」と「情報の隠し方」の両方で決まります。

この記事では、あみだくじが1対1になる理由を説明したあと、3人と4人の簡単な例で実際に確率を計算します。最後に、職場や家庭でそのまま使える公平な作り方をまとめます。

あみだくじが必ず1人1つの結果になる理由

横線1本は「隣どうしの入れ替え」

あみだくじの縦線を上からたどり、横線に出会ったら隣の縦線へ移る、というのが基本ルールです。ある横線に注目すると、左の縦線を下りてきた人は右へ、右の縦線を下りてきた人は左へ移ります。つまり横線1本は、隣り合う2本の縦線の中身を入れ替える操作です。

入れ替えを何回くり返しても、2人が同じ場所に重なることはありません。並び順が変わるだけで、人数分の席がそのまま保たれるからです。数学では、このような1対1の並べ替えを「置換(ちかん)」と呼びます。

下から逆にたどっても1本道になる

結果の側から上へたどっても、道は1本に決まります。どの結果からもスタート地点がちょうど1つ決まるので、「誰も行き着かない結果」や「2人が行き着く結果」は生まれません。

1対1を保つための作り方のルール

この性質が成り立つのは、1本の縦線の同じ高さに、左右から横線の端がつながっていない場合です。同じ点の左右に横線があると、どちらへ進むかが決まらなくなります。横線を引くときは、隣の横線と高さを少しずらすようにしましょう。

また、横線の組み合わせを工夫すれば、どんな並べ替えでも作れます。4人なら並べ方は4×3×2×1=24通りあり、そのどれもあみだくじで表せます。

3人のあみだくじで確率を計算してみる

ここからは、次の前提で計算します。

  • 横線は上から順に1本ずつ引かれる
  • 1本ごとに、縦線の間の隙間のどこかへ同じ確率で置かれる
  • 各横線の位置は互いに無関係(独立)に決まる

人の手で引く場合はこの前提どおりになる保証はありませんが、「でたらめに引いた場合」の目安になります。

横線が1本・2本の場合

3人(左・中・右)なら隙間は「左と中の間」「中と右の間」の2か所で、それぞれ確率1/2です。左からスタートした人を考えます。

横線が1本なら、左と中の間に引かれたとき(1/2)は中へ移り、中と右の間なら(1/2)左のまま動きません。右には絶対に行けません。

横線が2本なら、置き方は2×2=4通りで、どれも確率1/4です。

  1. 「左中」→「左中」:左→中→左。左に戻る
  2. 「左中」→「中右」:左→中→右。右に着く
  3. 「中右」→「左中」:左のまま→中。中に着く
  4. 「中右」→「中右」:一度も動かず左のまま

左に着くのは1と4の2通りなので2/4=50%、中と右はそれぞれ1/4=25%です。全員が同じなら3分の1(約33.3%)のはずなので、左端のスタートは真下に残りやすい状態です。

横線を増やすと偏りはどう減るか

3本目以降は、次の更新ルールで計算できます。どの位置にいても、次の横線で動く先はそれぞれ確率1/2で決まるためです。

  • 次に左にいる確率=(今左にいる確率+今中にいる確率)÷2
  • 次に中にいる確率=(今左にいる確率+今右にいる確率)÷2
  • 次に右にいる確率=(今中にいる確率+今右にいる確率)÷2

例えば3本目は、2本目の(50%、25%、25%)から、左=(50+25)÷2=37.5%、中=(50+25)÷2=37.5%、右=(25+25)÷2=25%になります。左端からスタートした場合を続けて計算した結果が次の表です。

横線の本数 左に着く 中に着く 右に着く
1本 50% 50% 0%
2本 50% 25% 25%
3本 37.5% 37.5% 25%
4本 37.5% 31.25% 31.25%
5本 約34.4%(11/32) 約34.4%(11/32) 31.25%(10/32)
6本 約34.4%(22/64) 約32.8%(21/64) 約32.8%(21/64)

理想の33.3%からのずれの最大値は、1本ごとにちょうど半分になっていきます(1/3→1/6→1/12→…)。3人なら6本程度でかなり均等に近づきますが、ゼロにはなりません。

4人になると偏りはなかなか消えない

人数が増えると、均等になるまでに必要な横線は大きく増えます。4人(隙間3か所、それぞれ確率1/3)で、左端からスタートした場合を同じ方法で計算します。

更新ルールは次のとおりです。端の縦線は隙間1か所にしか接していないため、「動かない確率」が2/3と大きくなります。

  • 1列目:(1列目×2+2列目)÷3
  • 2列目:(1列目+2列目+3列目)÷3
  • 3列目:(2列目+3列目+4列目)÷3
  • 4列目:(3列目+4列目×2)÷3

横線3本までを分数で書くと、1本後が(2, 1, 0, 0)/3、2本後が(5, 3, 1, 0)/9、3本後が(13, 9, 4, 1)/27です。例えば3本後の1列目は、(5×2+3)÷27=13/27です。

横線の本数 1列目(真下) 2列目 3列目 4列目(反対の端)
3本 約48.1% 約33.3% 約14.8% 約3.7%
6本 約36.6% 約29.8% 約20.2% 約13.4%
9本 約31.0% 約27.5% 約22.5% 約19.0%
12本 約28.1% 約26.3% 約23.7% 約21.9%

理想は各25%ですが、横線を12本引いても端の列の真下は約28.1%、反対の端は約21.9%と、まだ差が残ります。3人のときはずれが1本ごとに半分になりましたが、4人では1本あたり約2割しか縮まないためです。

あみだくじで当たりやすい場所はどこか

1本の横線では1列しか動けない

横線1本で移動できるのは隣の列までです。横線がk本なら、どれだけ運がよくてもk列先までしか届きません。6人のあみだくじで横線が4本以下なら、左端の人が右端の結果に行き着くことは絶対にありません。当たりが見えているとき、当たりから遠い列のスタートが不利になるのは確実です。

端の列は真下に残りやすい

ランダムに引いた横線が自分のいる列に接する確率は、人数が多いほど下がります。6人なら隙間は5か所で、左端の列に接するのは1か所だけです。1本ごとに動けない確率が4/5なので、10本引いても一度も動かない確率は(4/5)の10乗=約10.7%あります。これだけで、理想の6分の1(約16.7%)の大半を占めてしまいます。

また、人の手で引くと、特定の隙間に横線が集中することがあります。極端な例として、左の2列の間にしか横線がなければ、右側の人は最初から最後まで真下に下りるだけです。

真ん中の列では「真上が最も有利」とは限らない

「当たりの真上が一番有利」とはっきり言えるのは、主に端の列の場合です。真ん中の列では、横線の本数が奇数か偶数かで結果が変わります。

3人で真ん中からスタートした場合、横線1本では必ず左右どちらかへ動くので、真ん中に着く確率は0%です。同じ更新ルールで計算すると、2本で50%、3本で25%、4本で37.5%となり、奇数本では3分の1より低く、偶数本では高くなります。

4人・横線3本で、2列目が当たりの場合も見てみます。2列目スタートは1本後が(1, 1, 1, 0)/3、2本後が(3, 3, 2, 1)/9、3本後が(9, 8, 6, 4)/27です。各スタートから2列目に着く確率を並べると次のとおりです。

スタート 2列目(当たり)に着く確率
1列目 9/27(約33.3%)
2列目(真上) 8/27(約29.6%)
3列目 6/27(約22.2%)
4列目 4/27(約14.8%)

真上の2列目より、隣の端の1列目のほうがわずかに有利です。一方で、遠い4列目が最も不利という傾向ははっきり表れています。

当たりを隠せば横線が少なくても公平になる

ここまでの偏りは、「当たりがどこにあるか分かっている」ときに問題になります。逆に、次の条件がそろえば、横線の数に関係なく全員の確率は同じです。

  • 当たりの位置が、偶然で決まっている
  • 当たりの位置を、線を引く人も選ぶ人も知らない

理由は単純です。横線を全部引き終えた時点で、あみだくじは「どのスタートがどの結果に着くか」が1対1に決まった表になります。当たりがn個の結果のどれかに同じ確率で置かれるなら、その当たりに着くスタートもn個のどれかに同じ確率で決まります。4人なら、どこを選んでも25%です。

注意したいのは、結果を書いた人や並びを入れ替えた人も「当たりの位置を知っている人」に含まれることです。紙を折って隠しても、その人が参加していれば条件は崩れます。

選ぶ順番は確率に影響しない

当たりが誰にも分からない限り、先に選んでも後に選んでも当たる確率は変わりません。くじ引きで先に引くか後に引くかで確率が変わらないのと同じ考え方です。ただし、先に選びたい人が多いと揉めやすいので、じゃんけんなどで順番を決めておくと進行がスムーズです。

不公平になりやすい場面

  • 当たりの位置が見えた状態で、横線が少ないあみだくじからスタートを選ぶ
  • 結果を書いた人が参加し、横線が見えた段階で当たりから上へたどってスタートを選ぶ
  • 当たりの位置を知っている人が、最後に横線を足す(隣の2人の行き先を入れ替えられる)
  • 横線を見た人が、当たりの位置を後から自分で選んで書き込む

公平なあみだくじの作り方

要点は、当たりの位置を知っている人が、線引きにもスタート選びにも関わらないことです。紙で作る場合は、次の手順にすると不正や偏りが入り込む余地を小さくできます。

  1. 人数分の縦線を引き、下の端(結果欄)は空けたまま折って隠す
  2. 参加者全員が、高さをずらしながら1人2〜3本ずつ横線を足す
  3. じゃんけんなどで順番を決め、上の名前欄にスタート地点を選んで記入する
  4. 全員が選び終え、横線も引き終えてから、下の表のいずれかの方法で当たりの位置を決める
  5. 結果欄を開いて結果を書き込み、全員の線をたどる
当たりの決め方 やり方 注意点
紙片を混ぜる 当たり・外れを書いた紙片を裏返して混ぜ、誰も中を見ずに結果欄へ左から順に置く 全員の分を置き終えるまで表にしない
乱数で番号を決める 1〜人数の範囲で番号を1つ引き、その位置を当たりにする 必ず全員が選び終えた後に引く
参加しない人が書く 抽選に参加しない人が、手順1の時点で結果を書いて隠す 書いた人は線引きにもスタート選びにも加わらない

手順2で全員が横線を足すのは、確率をならす効果に加えて、「誰かが線を工夫して結果を操作した」という疑いを避けるためです。紙片や乱数の方法なら、当たりの位置が決まるのは線もスタートも確定した後なので、線の引き方で当たりを狙うこともできません。

オンラインで乱数を使うあみだくじ

アプリやWebツールのあみだくじは、プログラムが乱数(予測できないように作られた数)を使って横線や結果の配置を決めるのが一般的です。人の手のように特定の場所に線が集まるクセが出にくく、当たりの位置を誰も事前に知らない状態を作りやすいのが利点です。

ただし、乱数の作り方や横線の決め方はツールごとに異なり、外から確かめることはできません。プログラムでよく使われるJavaScriptのMath.random()も、MDNの解説にあるとおり暗号用途向けの安全な乱数ではありません。景品の抽選のように結果の重みが大きい場面では、方法を事前に参加者へ説明しておくと安心です。

身近な順番決めなら、最大12人まで使え、名前を押すと線をたどるあみだくじが手軽です。紙のあみだくじで結果を数字で決めたい場合は、範囲を指定して重複なしで数字を選べる乱数生成ツールを使い、全員がスタートを選び終えてから当たりの番号を決める方法もあります。

公平なあみだくじのチェックリスト

  • 横線の端が、同じ点で縦線の左右に接していないか
  • 当たりの位置を知っている人が、線引きやスタート選びに参加していないか
  • 当たりの位置は、全員が選び終えてから偶然で決めたか(または誰も知らない状態で隠してあるか)
  • 横線は特定の場所に偏らず、全員が少しずつ足したか
  • 当たりが見えている場合、横線は人数に対して十分か(4人で12本でも端の列の真下は約28%)
  • スタートを選ぶ順番を、事前のルールで決めたか
  • 全員が選び終わるまで結果を開いていないか
  • オンラインツールを使う場合、使い方を参加者に共有したか

よくある質問

あみだくじで当たりやすい場所はありますか?

当たりの位置が見えていて横線が少ない場合、当たりから遠い列は確実に不利です。横線1本で1列しか動けないためです。端の列では当たりの真上が有利になりやすい一方、真ん中付近では真上が最も有利とは限りません。例えば3人で真ん中からスタートすると、横線1本では真ん中に着く確率は0%、3本では25%です。当たりの位置が偶然で決まり、誰にも分からない状態なら、どこを選んでも確率は人数分の1です。

横線は何本くらい引けば公平になりますか?

全員の確率が完全に同じになる本数はなく、人数が多いほど必要な本数は急に増えます。でたらめに引いたと仮定しても、4人で12本では端の列の真下が約28%と、理想の25%より高いままです。本数だけに頼らず、当たりの位置を誰にも分からない状態にしておくのが確実です。

最後に横線を引く人は有利になりますか?

当たりの位置を知っていれば、最後の1本で隣り合う2人の行き先を入れ替えられるので、結果を操作できてしまいます。当たりの位置を誰も知らなければ、どこに線を足しても誰が当たるかは分からないため有利にはなりません。当たりの位置は、線を引き終えて全員がスタートを選んでから決めると安心です。

あみだくじで2人が同じ結果になることはありますか?

1本の縦線の同じ高さに、左右から横線がつながっていなければ、2人が同じ結果になることはありません。横線は隣り合う2本の縦線を入れ替えるだけなので、必ず1人1つの結果に対応します。同じ結果に着いたときは、たどり間違いか、線が同じ高さで接している箇所がないか確認してください。

あみだくじとくじ引きでは、どちらが公平ですか?

当たりが偶然で決まり、誰にも分からない状態なら、どちらも全員の確率は同じです。くじ引きは引いたらすぐ結果が分かり、あみだくじは全員が選んでから一斉に結果が出るという違いがあります。公平さそのものより、場の雰囲気や人数に合わせて選ぶとよいでしょう。